【自己PR④】
本記事では、「自己PR」のエピソードの注意点や、自己PRが平凡にならないためのポイントを解説していきます。
「自己PRって、エントリーシートでも面接でも、就職活動では常に出てくる場面があるけど、何を話せばいいの?」「いろいろな先輩の自己PR文を見たことあるけど、どうやってエピソードを作ればいいのかわからない」「自己PRとガクチカが一緒になっちゃうけど、大丈夫?」など、いざ作ろうとすると気になることがたくさん出てきますよね。具体的な書き方がわからず悩んでいる方もいるでしょう。
自己PRは、就職活動、特に新卒者の採用選考における「三大質問(設問)」の一つと言われ、企業あるいは面接官から必ずと言っていいほど質問されることの一つです。
簡単に言えば、企業あるいは面接官が「自社に入社させるのに値する人物か否かを判断する指標」の一部、ということです。
企業は採用活動において、この学生に入社してもらったとして、入社後に「自社にとって有益な人物になるかどうか」を見ています。言い換えると自社の事業展開や事業戦略の方向性、さらには企業文化や社風、既存社員の雰囲気などを踏まえて、フィットしそうかどうか、を重視しています。これらを踏まえて就職活動に取り組むこと、そして、「自己PR」を正しく理解して取り組むことで、皆さんが希望する就職活動の成功が見込めるでしょう。
よく就活生の相談を受けていて「自己PR」と「ガクチカ」が一緒になってしまうのですが大丈夫ですか?と聞かれます。でもよく考えてみてください。新卒採用で多く用いられる三大質問とは「自己PR」「ガクチカ」「志望動機」の三つですが、三大というのだからそれぞれ企業側の見ているポイント、出題の意図が異なることは想像できますね。
一緒になってしまうなら二大質問でいいのです。ガクチカのポイントは別で解説していますから、そちらをご覧くださいね。
そのエピソードからどんな印象を与える?
伝えたいことが、伝えたいように相手に伝わること。
これが就職活動においてはなにより重要です。エントリーシートでも面接でも、自分が何を伝えたいか、どのように思われたいか、がその通りに相手に伝わっていなければ意味がないですね。ですが、場合によっては、学生の皆さんがアピールのつもりで話していることが逆効果になっているシーンを見かけます。
自己PRはマイナスイメージを作らないことが大切
自己PRを作る上で注意したいのが、マイナスイメージを作ってしまうことです。例えば、
私は人からのんびりしていると言われがちですが、実は活発に動くことが出来ます
という出だしから入ってしまうと、相手は最初のマイナスなイメージを先に連想してしまいます。
人からのんびりしている、という評価を受けているということは、自分ではやれているつもりでも、周囲の期待値を気づけていない人なのではないか、もしくは、マイペースな人なのではないか、仕事を任せても期日までに間に合わせることが出来ないのではないか、自分の判断で進めてしまうのではないか、とあれやこれやと想像し始めてしまいます。
なかなか自分で自分の事を褒めるのは恥ずかしいかもしれませんが、就職活動では遠慮や謙遜はやめましょう。
私は活発で積極性がありますとはっきり述べたほうがストレートに相手に伝わります。
自己PRは、相手(読み手や面接官)任せにしないこと
状況を「詳しく説明」することで、相手に、あなたの強み(能力)や性格、特徴などを察してもらおう、理解してもらおうとしてはいけません。アルバイト、サークル、部活等での人数不足や、急な予定変更、人間関係トラブル、突然のクレームなど、大変だった「状況」を説明することで、苦労を分かってもらえるだろう、その状況の中にいたなら、頑張った人だと思ってもらえるだろう、ではないのです。企業が知りたいのは、そのような状況の中で、そのような状態だからこそ、この学生が何をどのように考え、どのように人を巻き込み、人に働きかけ、どのような行動プロセスを取ったのか、その一連のプロセスの中で発揮できていた強みが何だったのか、ということです。
抽象的な表現や羅列では自己PRにならない
エピソードは経験に基づく事実で「平凡に終わらせない」ことを重視しましょう。言い換えれば「いかに目立つか」ということです。自己PRで平凡に終わらないためには、自己分析によって得られた自身の強みを裏付ける体験談をどれだけ非凡に見せるか、がポイントです。
たとえば、この2人の自己PRを読み比べてみましょう。
Aさん
私の強みは粘り強さです。しかも温和な性格であり、和を乱すこともありません。そのうえ、何事にも積極的に取り組みます。
Bさん
私の強みは継続力です。ラジオの英会話を3年間、毎朝欠かさずに聞きました。英語力だけでなく努力を続ける粘り強さも鍛えられました。
どちらが平凡に見えますか?多くの方は、Aのほうが平凡に感じるでしょう。「積極的」「粘り強い」「リーダーシップ」「我慢強い」「協調性」などは多くの方が自己PRに用いるため、平凡になるのです。Bの非凡さは「継続力」「粘り強さ」にあるのではなく、「ラジオ英会話を3年間毎朝聞き続けた」という事実にあるのです。平凡を打ち消したうえで、非凡を強調するには、抽象的な言葉ではなく、「体験に基づく事実」がとても効果的です。ただし、「非凡」と「奇抜」を勘違いしないように注意しましょう。 非凡であることと、奇をてらうことは違います。通学電車で毎朝、スクワットを30回していました、などと体力自慢をされても、ただの勘違い自己PRです。社会人にふさわしい能力として考えることを忘れずに。
第三者の目線・評価を取り入れる
どれだけ自分自身で客観的に分析を試みても、やはり限界があります。どうしても主観が入るものですから。たとえば、親の反対を押し切って、体調が悪いのに登山に行き、見事に登頂に成功したというエピソードを、「積極的」「行動力がある」「粘り強い」といった粘り強く取り組んだ経験として伝えているつもりが、第三者からはただの無謀な行動と見えたり、計画性のなさという印象だったり、人の話に耳を傾けない我儘との認識になっているかもしれません。
主観と客観の両面から振り返ることで、奥行きのある自己PRになるでしょう。
この続きは「自己PR5 まとめ編」で解説します。
動画ではもっと詳しい内容を視聴できます!こちらからご覧ください。
この記事を書いた人
深澤 絢 (ふかざわ あや)
大手IT企業や外資系企業の人事採用責任者、また人材サービス業界での就活生支援など、学生の面接に携わり20年。現在は企業に対する人材コンサルティングや教育研修講師として社員のキャリア開発に携わる。これらの経験から企業がどんな学生を欲しがるか、企業で活躍し続ける社員に共通することは何かを分析し、各種セミナーや大学での講座等で学生にポイントやコツを伝授し続けている。民間企業のみならず公務員への就職支援にも携わる。「受かるシリーズ」の人気講師。学生面接実績4万人以上、就職相談2万人以上の実績あり。
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